いろんなところに住んでみる

旅の楽しみは、知らない街の日常を見ること。というわけで、いろんなとこで「ちょっとちょっと暮らし」してみます。どんなところに住めるのかなー?2018年、チェンマイ→台北→フィレンツェ→はたまたチェンマイ。2019年は...春はカミーノ(スペイン巡礼路)からのポルトガル。夏は日本。秋冬はスウェーデン。2020年夏からしばらく京都。

ルアンパバーン④ゆるゆる寺巡りと、ハルキを読むベトナム青年

さすが古都というだけあって、小さなルアンパバーンの街は寺だらけ。

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メインストリート沿いに立派なお寺がいくつもあるし、路地裏にもゆるーい感じのお寺が点在する。

 

夕方になると、お坊さんがシンバルと太鼓でシャンシャンどんどんと、なんともかっこいい音を奏でる。

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洗濯物も絵になる...

 

敷地に入ってみると、ゆるーい感じの仏像が庭に無造作に置かれていたりする。

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葉っぱと表情のコラボレーションが絶妙...

 

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しなだれかかる角度が絶妙...

 

一時期、いとうせいこうみうらじゅんの『見仏記』を読んで、仏像を見に行くのにはまったことがあった。『見仏記』はTV番組やDVDなどで映像化もされている。仏像を、このポーズがたまらん、とか、マニアックな視点で鑑賞するという紀行文。ルアンパバーンのお寺は、まさにそういう楽しみ方ができる。

 


見仏記 (角川文庫)

 

村上春樹の、『ラオスにいったい何があるというんですか?』にも、ルアンパバーンのとあるお寺で見かけた、お猿さんの像のエピソードが出てくる。路地裏にある小さなお寺に、なんとも愛嬌のあるお猿さんの像があって、それが気に入ってついつい何度も足を運んでしまった、という話。本の中には、お寺の名前も詳しい場所も、写真もない。どんな像だか気になるではないか。というわけで、これはどうしても見に行きたかった。

 


ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集 (文春文庫 む 5-15)

 

本当は、ヒントもなにもナシで、街の中をぐるぐる回って探すべきだった。でも悪い癖だ。ちょこっと検索したら、すぐ画像が見つかってしまいました... 場所もなんとなくあたりがついたので、多少は迷ったけど、比較的簡単にたどり着いた。実物はほんとになんともかわいくて、あー見に来てよかった、と思ったけど、ヒントなしできたらもっと感動しただろうな... ものすごくズルした感じでちょっと後悔。

 

というわけで、場所も画像もここには載せません。ルアンパバーンに行ったら、ぜひぐるぐるして探してみてください。


でもここからがルアンパバーンマジック。この日は昼前に空港に行かなければいけないので、お猿さんを見に行ったあと、最後にメコン川を見下ろせるカフェにコーヒーを飲みに行った。

 

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カウンター席のとなりにアジア人の青年がやってきて、ペーパーバックを取り出して読み始めた。何を読んでるのかな、とチラ見すると、村上春樹の『Norwegian Wood』だった。おー、ハルキ読んでる。話しかけたい!読書の邪魔しちゃ悪いかな、と思いつつ、「村上春樹、私も好きなんだよねー」とついつい話しかけてしまった。

 

「あ、そうなんですね。まだ、この本は読み始めたばかりで。これまで、ほかに4冊読んでます。『Colorless Tsukuru 』と、『After the Quake』と、『Kafka on the Shore』と、『A Wild Sheep Chase』。あと、太宰治も何冊か」

 

彼はハノイ出身のベトナム人で、今はルアンパバーンの旅行会社で働いているらしい。何がきっかけで春樹を読むようになったの?

 

「もともとはノンフィクションや紀行文が好きで、小説はあんまり読んでなかったんですけど、日本人の友達に勧められて読んだらおもしろくて」

 

今まで読んだなかでどれが好きと訊いてみると、「どれも面白かったけど、多崎つくるが好き。一番リアルな感じがするから」とのこと。ノルウェイの森も、ファンタジー系じゃなくてリアリズム小説だから、気に入るかも。多分、日本では村上春樹の中では一番有名な小説かもしれない、というと、

 

「そうですよね。だからあえて、一番有名なのから読むのはやめようと思って後回しにしてました」

 

ぜひ『ラオスにいったい何があるというんですか?』も読んでほしいけど、これは翻訳されていないんだよね。残念。エッセイももっと英訳されるとよいのになー。

 

そろそろ空港に行かなければならないので、「読書の邪魔してごめんね」と席を立った。旅行中ってこういう偶然があるからおもしろい。今日も点と点がつながった感じがします。