いろんなところに住んでみる

旅の楽しみは、知らない街の日常を見ること。というわけで、いろんなとこで「ちょっとちょっと暮らし」してみます。どんなところに住めるのかなー?2018年、チェンマイ→台北→フィレンツェ→はたまたチェンマイ。2019年は...春はカミーノ(スペイン巡礼路)からのポルトガル。夏は日本。秋冬はスウェーデン。2020年夏からしばらく京都。

大家マルちゃん その弐



f:id:pechinda:20180521060728j:image

大家マルちゃん
は今日も元気だ。階下に住んでいるのだが、朝から晩までかしましく喋る声が聞こえてくる。

 

イタリアのベテラン主婦の家事にかける情熱はハンパない。借りている部屋には厳密なハウスルールが多数存在する。かなり忠実に守っているつもりではあるが、マンマからすると私の家事はまだまだ甘い、なんてもんじゃないらしい。1日に何度も教育的指導が入る。「ちょっと来なさい」、からのイタリア語のマシンガントーク

 

私がイタリア語をほとんど解さないので、マルちゃんが正確にはなにを言っているのかよくわからないんだけど、不思議なもんで、勢いだけでなんとなくわかってくる。

 

たとえば先日、1日でかけていたので、室内干しをベッドルームに置いていた。

「ちょっとダメよ!室内干しを寝室に置くなんて!置くならリビングルームに置きなさい!ここは寝るところなの!」(と多分言っている)

 

洗濯をすれば

「ちょっとダメよ!白いものと黒いものを一緒に洗うなんて!色移りしちゃうじゃないの!」(と多分言っている)

もう何度も洗っているので、色移りはしないんだけど、そういう問題ではないらしい。

 

日が暮れてからブラインドを開けっぱなしにしていれば

「ちょっと何してるの!夜なんだからブラインドは下ろさないと!ブラインドは朝になったらあけるものよ」(と多分言っている)

 

シンクに水しぶきがちょっとでも残っていようものなら「ほら、こうやって拭くのよ!」と指導が入るのでなかなか気が抜けない(笑)。

 

まあ、毎日毎日いろんなことをよく突っ込まれる(笑)。といっても、郷に入れば郷に従えだし、決して険悪なわけではなく、にっこり「かぴーと(わかった)」と言えば「もー、しょーがないわねえ」という感じで苦笑しながら「ちゃおー」と階下に戻っていく。お姑さんに仕込まれる出来の悪い嫁になった気分です(イタリアの嫁ってタイヘンそうだなあ...)。

 

どうやら、各部屋や物を置く場所の役割分担を無視するのがダメらしい。くだんの室内干しとか、クローゼットに化粧品を置いたり、とか。でも、私はキッチンで仕事してるんだけど、それについてはOKらしく何も言われない。

 

今日はシーツを干しっぱなしにしてちょっと出かけたら、雨が降って来た。急いで戻ったら、もうマルちゃんがシーツを取り込んで、ベッドメーキングまでしてくれていた。「もー!今日は雨が降ったりやんだりしてるのに、干しっぱなしで出かけるなんて!何やってるの!ほら、そっちもって!」マルちゃんはベッドメーキングも完璧だ。「今日は何を食べるの」「あら、スープ作ったのね」「この食材はこうやって保存するのよ」と、いろいろ世話をやいてくれたり、「ほら、ケーキを焼いたから食べなさい」と差し入れしてくれたり。

 

とりあえず今日まで、マルちゃんの教育的指導が入らなかった日は1日もない。ここを出るころには、私、ものすごく家事のできる女になっている気がする。